NHK-BS版 国境のない地図 宝塚歌劇星組

宝塚大劇場2019年1月10日

スカイステージでNHK-BSハイビジョン版の「国境のない地図」が放映されました。1995年と古めの収録ですが、映像の綺麗さに驚きました。そして、当時の熱気と素晴らしい舞台を体験することができました。

https://www.tca-pictures.net/skystage/Prgm/Detail/11150.html

コロナ禍の今だからこそ見ていただきたい舞台です。 スカイステージでは2022年1月26日と2月11日に放送がありますから、未見の方は是非ご覧ください。

阪神大震災後再開第一作

宝塚歌劇団が阪神淡路大震災を乗り越え宝塚大劇場で再開した最初の公演が星組「国境のない地図」だったのです。その当時の熱気と覚悟が画面を通して伝わってきます。

youtubeにその当時の宝塚歌劇団を取り上げたニュース動画が残っていますので、検索してみてください。

麻路さきさんの言葉をご紹介します。

救助活動とか、私たちには力がないんですけど・・・・・私たちは笑って公演するのが仕事なので

宝塚大劇場も被害を受け、なによりタカラジェンヌも被災者でした。しかし2月にこの星組メンバーの中日劇場公演から宝塚歌劇団は公演を再開しました。

宝塚歌劇団は

宝塚はどうなってしまうのだろう?再開できるのだろうか?お客様は来てくださるのだろうか?

との不安を振り払い、けいこに励みました。

そして

この大震災の中、被災者もいる中でエンターテイメントの意味とは?

と向き合う事を余儀なくされました。

タカラジェンヌだけなく宝塚ファンも同じ思いであったはずです。

そして宝塚大劇場は修理工事を終え3月31日再開にこぎつけました。この再開公演こそ、「国境のない地図」なのです。麻路さきさんのトップスターお披露目公演です。

妻によれば、「国境のない地図」では再開間もなくお客様も劇場に来れる状態でなかったために空席が目立つ公演だったそうです。

もう一つ押さえておきたいのは、この「国境のない地図」が阪神淡路大震災前から上演は決定していたものです。当たり前の事ですが、別に阪神淡路大震災復興のためのミュージカルではないのです。それでも宝塚歌劇健在なり!人々に上質のエンターテイメントを提供するのだという宝塚の決意が伝わる公演となっています。

オープニングから度肝を抜かれる

オープニングではトップスター麻路さきさんがピアノを弾き始めます・・・・・ていうか「タカラジェンヌが弾くかわいいピアノ」とかそんなレベルじゃなくおっそろしく上手いです。特にBS-ハイビジョン版は指先が鮮明に見えるので余計驚きます。

そしてその後流れる白城あやかさんの歌が感動的です。

ドラマとしては友情・愛情・親子がバランスよく配置されていますが、必ずしもウェルメイド(構成が論理的にしっかりしている)というものでもなく、ご都合主義的な所もありますが、破綻するようなものでもなくフィナーレを入れて2時間半の舞台として大変感動的なものです。

「喜びの歌」が流れる

クライマックスではベートーベンの交響曲第九番の合唱部分、つまり「喜びの歌」が流れます。宝塚としては珍しく歌詞が日本語ではなくドイツ語で歌われます。

敢えてドイツ語で歌わせたのはこの歌詞を思い浮かべて欲しいという事なのだと思います。 もちろんドイツ語歌詞は音楽の日本の教科書の歌詞とは違います。しかしこの公演は、宝塚歌劇団のミュージカルで、お客様もほとんどが日本人で、第九は知らなくても「喜びの歌」を知っている人が大半なのです。お客様の心に「喜びの歌」が浮かび、その歌は震災で沈む心を奮い立たせたことでしょう。

晴れたる青空 ただよう雲よ

小鳥は歌えり 林に森に

こころはほがらか よろこびみちて

見かわす われらの明るき笑顔

花さく丘べに いこえる友よ

吹く風さわやか みなぎるひざし

こころは楽しく しあわせあふれ

ひびくは われらのよろこびの歌

岩佐東一郎作詞・ベートーベン作曲/文部省唱歌

そして伝説の群舞、デュエットダンスとフィナーレへ

その後バッハやベートーベンのクラシックの名曲に乗せて群舞とデュエットダンスへ続きます。

この群舞が実に素晴らしい!

そしてベートーベンのピアノソナタ「悲愴」に乗せたデュエットダンス、このデュエットダンスは伝説となっているもので、宝塚史上1位に上げる人も大変多く、この公演以前と以降でデュエットダンスの意味が変わったとも言えるくらいの革命的なものです。また、NHKのカット割りやフレーミングが神がかっていて、デュエットダンス直前に麻路さきさんがせりあがってくる場面で鳥肌が立ちました。

そして、影ソロは出雲綾さんで言わずもがなの圧倒的歌唱力!

余談~この時の星組メンバーのエリザベート ガラコンサート2021

2021年エリザベートガラコンサートが上演されましたが、コロナの感染拡大の影響で途中から無観客となりました。本来配信が予定されていなかったコンサートも急遽配信されました。数日の猶予のみで配信チケットの販売配信準備が成し遂げられました。奇しくも最初に急遽配信されたのが麻路さきさんなどの星組エリザベートだったのです。・

当日視聴した私はこう記しています

https://www.instagram.com/p/CONQdCoDR4m/?utm_source=ig_web_copy_link

終演後白城あやかさんが涙ぐむのが印象的だったのですが、阪神大震災を経験し、再開最初の公演を任された時の記憶もよみがえったのかもしれません。

投稿者プロフィール

maido
maido
模型工房M代表。
模型好き。カメラ好き。宝塚歌劇好き。
各模型雑誌で掲載多数。
艦船模型、飛行機模型、AFV模型などプラモデル全般の制作代行も承っております。製作代行のご案内ページは現在製作中です(2024年4月1日)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA