ユヴァル・ノア・ハラリ サピエンス全史

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福
サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福
2016年から2017年にかけ評判になった本です。私はKindleで読みました。紙の本なら600ページ弱の大著です。
人類史を扱っており、「認知革命」「農業革命」「科学革命」に重点がおかれて解説されています。既存の見方が根底から覆される部分も多く、とても面白いです。使用されている言葉や喩えも基本的にかなり平易だと思います。
著者はイスラエル人で、マクロヒストリー(歴史を長期的な視点で見る)を専門とされています。この本で一貫しているのが「相対化」で、ホモサピエンスを絶対神聖化したり、ユダヤ教や自由主義を絶対視していません。
特に興味深く、私の既存の考えを打ち砕かれたのが「認知革命」についての記述です。こう書かれています。

「虚構、すなわち架空の事物について語る能力こそが、サピエンスの言語の特徴として異彩を放っている」
「虚構のおかげで、私たちはたんに物事を想像するだけではなく、集団でそうできるようになった」

宗教・貨幣・思想・国などが全て「虚構」とされています。この説明は説得力が極めて高いと感じました。
なお「虚構」というのは「嘘」や「誤り」という意味ではないので注意してください。
もう一つ、このサピエンス全史の特徴としてゴータマ・シッダルタ(ブッダ、釈迦)への言及があります。
そもそもの前提としてこの本でも、

「幸福は外部の条件とは無関係」という事は、ブッダも現在のニューエイジも意見を同じくしている

としています。私の知識上でも、古今東西多種多様な哲学や宗教が「幸福は外部の条件とは無関係」を唱えており、目新しいものではありません。確かにブッダに限らず、ソクラテスでもショーペンハウアーでも内部的な事を重視するというのは変わりません。
ここで、この本では初期仏教の教えに触れるのは大きな驚きでした。
初期仏教から大きく変化した日本仏教とはいえ仏教の一派の日本曹洞宗の檀家でもある私(神道も儒教も影響を受けているいい加減?な宗教観ですけど(笑))としては、何故にイスラエル人がこれほど仏教を理解しているのかと思いました。このハラリ氏はどうも初期仏教の瞑想法を実践されているそうで、なるほどと思いました。サピエンス全史で仏教徒はこう考えていると書かれている箇所は衝撃的ですらありました。いやそうは考えてないなぁと(笑)
。。
以下引用
 苦は、神の気まぐれによって生じるのではなく、自分の中の渇愛から生じると、ゴータマ(釈尊)は悟った。快を経験すればさらにそれを渇愛し、不快を経験すればその除去を渇愛する。渇愛は常に不満足をもたらし、心を不安定にする。これは、仏教徒にとって、神からの啓示ではなく、普遍的な自然の法則である。渇愛せずに現実をあるがままに受け入れるために、「何を経験していたいか」ではなく「今何を経験しているか」に注意を向ける鍛錬、瞑想術を開発した。渇愛を消火すれば、完全な満足と平穏の涅槃が訪れる。

確かに、高校の時倫理で教わった初期仏教そういえばそうだなと(笑)
宮崎哲弥さんが、この数年急に初期仏教書を書かれていますが、仏教徒としての誇りや自覚や使命感もあるのでは?と思いました。私も初期仏教への興味が増したので、まずは宮崎さんの本を読んでみようと思います。
ちなみに私は瞑想は出来る限りはやろうと思ってますが、なかなか(笑)

投稿者プロフィール

maido
模型工房M代表。
模型好き。カメラ好き。宝塚歌劇好き。
各模型雑誌で掲載多数。
艦船模型、飛行機模型、AFV模型などプラモデル全般の制作代行も承っております。

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