隼~零戦の影で~
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第2次大戦の日本の戦闘機と言えば、何と言っても零戦が有名です。その零戦と同じエンジンを装備し、性格も似通っている戦闘機があります。それが一式戦闘機「隼」です。
この隼の一型はハ25(海軍の栄一二型とほぼ同一)を装備していたのですが、ほぼ同じエンジンを積んでいる零戦二一型に比べると速度が遅いと言われています(これには重要なカラクリがあるので後述します)。また武装は7.7mm機銃×1、12.7mm機関砲×1で零戦よりも貧弱です。しかし、隼は零戦が持っていない性能を持っていました。それが防弾装備です、一型は7.7mm機銃に耐えられる外装式のセルフシーリングタンクを装備していますし、二型(ハ115、つまり栄二一型装備)以降は12.7mm機銃対応の外装式セルフシーリングタンクを装備して、操縦席後方に防弾板を装備しています。
隼の防弾性能は当時の欧米の基準からしてもまずまずのもので、当時の日本の技術水準からすればバランスの取れた防弾ではないかと思います。
隼の速度が遅いのはカラクリがあると書きましたが、これは海軍と陸軍の燃料の差です。開戦前は海軍の方が高オクタンの燃料を使用していたので、そのまま比べると隼には酷です。
しかし、隼は主翼の構造上主翼に機銃を装備できず火力は低いままでした。隼と零戦を見る限り、1000馬力程度のエンジン装備でいくと何か大きな発明(P-51の層流翼のようなもの)をしない限りは、最高速度550Km/h程度で火力又は防弾装備を犠牲にせざるをえないのかな?と考えてしまいます。
また疾風も隼二型以降とほぼ同スペックの防御装備ですから、隼と零戦の比較というのは非常に興味深いです。よく零戦の防弾装備を「欧米の機体に比べて○○」(それも大概F6Fなどと比べる(苦笑))と言われる方もおられますが、本来零戦の防弾装備で真っ先に比較するべきなのは同じエンジンの隼ではないかと思います。火力が低いままの隼と「火力だけなら疾風や紫電改と遜色ない」零戦を比べるというのがスジのような気がします。
投稿者プロフィール
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模型工房M代表。
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